上
英語精読・完全解説上智大学 2024 / 大問2
現代の少女時代(The Economist)
本試験10問+発展5問
Reading Strategy

「女の子であること」は、
もう男の子の反対語ではない。
定義が変わった、という話。

オランダの屋上でタピオカティーを飲む二人の少女から始まり、統計と研究を挟んで、また同じ少女に戻って終わる。その間に描かれるのは、少女時代(girlhood)という経験そのものが作り替えられてきた過程だ。かつて少女時代は「少年時代の反対」として定義されていた――男の子が意地悪なときに優しく、うるさいときに静かに。その引き算の定義から、それ自体として成り立つものへ。この転換を掴めば、10の設問が一本の線で並ぶ。

この記事の骨格:①かつてない少女時代が始まっている。②その核心は対比による定義からの脱却。③友情・投資・育て方が少女に有利に働く。④皮肉にも、少女を縛った古い扱いが今や武器になった。⑤さらに少女は親を変える主体でもある。⑥虚構では昔から勇敢だった少女が、現実でも声を持ち始めた。⑦ただし高い期待は重荷でもある。⑧結末――you は複数形だと気づいた瞬間、不安が自信に変わる。
15段落構成
10本試験設問
5発展問題
49全訳の文数

設問タイプと攻め方

タイプ該当設問攻め方
指示語・下線部(11) (12) (16)直前・直後が答えを決める。(11)=直前の否定文/(12)=直後の歴史説明/(16)=直後の引用。
理由・推論(13) (15) (18)根拠の一文を指す。(13)は二文を結んで因果を作るのがポイント。
不一致(NOT)(14)言及のある三つを消す。残る(b)は本文が明示的に否定した内容。
引用の機能(17)挙げられたのは作家ではなく作中人物。何を証明するための例かを問う。
誤解の特定・主旨(19) (20)(19)=By myself? が誤解の種類を示す。(20)=第3〜4段落の主題文に帰着。
この解説の構成 本試験10問の完全解説に加えて、THINKINGオリジナルの発展5問(早慶・上智上位レベル/選択肢すべて英語)を収録しています。本試験は「該当箇所を正確に読む力」、発展問題は「記事全体を一本の構成として掌握する力」を測ります。誤答にはすべて「なぜダメか」+「どんな読み方をした人が選ぶか」を記しました。
Passage Map

英文マップ ― 15段落の流れと設問の在りか「二人の少女→枠組み→核心→証拠の積み上げ→逆説→反転→歴史→現在→留保→同じ少女に戻る」という円環構造。

1導入
屋上の二人

廃ビルの屋上、タピオカティー、ヴィンテージジーンズ。ドーラの好きな歌手は「思っていることをはっきり言うから」=speak up の伏線。

—
2現状
「それは別の時代の話」

TikTokで場所を知り、抗議活動に抜け出す。女の子だからできないことがあるとは思わない。それを「別の時代のもの」と退ける。

設問(11)
3枠組み
かつてない少女時代

母の世代の平等化、ソーシャルメディア、少女時代の観念の変化。a girlhood like none before=記事全体の宣言。

—
4核心
対比による定義からの脱却

女の子であることがそれ自体で一つのものに。かつては「男の子が意地悪なとき優しく」=引き算の定義。今は幅広く柔軟。

設問(12)
5友情
少女同士の絆

女性同士の友情はより親密で支え合う。少年は10代で離れるが、少女はいっそう近づく。次段落の伏線。

—
6検証
ロックダウンで最もつらかったこと

友達に会えないことが最もつらい(家族の緊張やオンライン授業を上回る)。そして少女のほうが苦しんだ。

設問(13)
7投資
支出の逆転

1970年代は少年に多く→2017年に差が消失→今は少女のほうが多い(家庭教師・画材・音楽)。

設問(14)
8逆説
古いステレオタイプが利点に

皮肉にも、読み聞かせ・歌・感情の会話がソフトスキル重視の時代に優位を生む。余暇が少ないのは家事のせいではない。

設問(14)
9反転
娘が親を変える

娘は親の価値観も変える。父親の伝統的態度が減り、家事分担が増え、ビジネスマンは女性のキャリアを支援。

設問(15)
10摩擦
テクノロジーをめぐる溝

親はあまりに一方的。ドラマ・気晴らし・中毒という否定面ばかり見る。でも刺激的でもあるとフランキー。

設問(16)
11歴史
虚構と現実のずれ

虚構では長らく勇敢で率直(ジェーン・エア、クローディア)。しかし現実の少女は10代で沈黙した――好かれるための圧力で。

設問(17)設問(18)
12現在
声を上げる道具

教育・インターネット・家を出る自由を得た今、声が聞かれると学ぶ。世界を良くしたい、リーダーになりたい。

—
13留保
高い期待という重荷

高い期待は間違いなくリスク。良い行い・良い外見・良い人柄という三重のプレッシャー。

—
14場面
フランキーのパニック

「世界を変えられると思う?」→「私一人で? ああ無理」。第13段落の重荷の実例。

設問(19)
15結末
複数形だと気づく

you は複数形だと気づく。「女の子たち全員ね」と安堵のため息。「もちろん私たちならできます」。

設問(20)
The Core Shift

核心の転換 ― 引き算の定義から、それ自体へ設問(12)と(20)はここに帰着する。記事全体がこの一つの転換を論証している。

かつての少女時代defined in opposition to boyhood
定義少年時代との対比で決まる=引き算の定義
内容男の子が意地悪なとき優しく/うるさいとき静かに/個性を持つとき可愛らしく
含意少女には「個性」すら割り当てられていない
虚構と現実物語では勇敢(ジェーン・エア)だが、現実の少女は10代で沈黙
今日の少女時代a thing in itself
定義それ自体で成り立つ一つのもの
内容興味も行動も幅広く柔軟(broad and flexible)
含意「女の子だからできない」は別の時代の話
虚構と現実道具を得て、現実でも声が聞かれるようになった
この転換が解く設問 設問(12)=a thing in itself の意味は、直後の「対比で定義されてきた」の裏返し=(b)。
設問(11)=ドーラが「別の時代」と退けるのは、左側の世界の制約=(b)。
設問(20)=記事が論じたのは、この転換そのもの=(d) more flexible and contains more possibilities。
ただし一点だけ、方向が違う段落がある 第13段落「高い期待は間違いなくリスク」。これだけが留保。しかも別の要因ではなく、力を与える期待そのものが重荷になるという両義性として書かれている。この一段落を記事全体の結論と取り違えると設問(20)で(c)を選ぶ。留保は留保として、主題と区別する。
Solutions ①

設問(11)〜(14)指示語・下線部・理由・不一致。直前と直後が答えを決める問題群。

Solutions ②

設問(15)〜(17)推論・語義・引用の機能。向き(増えるか減るか、どちら側か)を正確に取る。

この3問に共通する罠 「向き」の取り違え。(15)は decreases / makes more likely の向き、(16)は偏りがどちら側か、(17)は虚構と現実のどちらの例か。いずれも本文に明示されているが、語の一致だけで選ぶと逆を取る。
Solutions ③

設問(18)〜(20)理由・誤解の特定・主旨。時期(過去か現在か)と、主題か留保かを見分ける。

Reading Map

全訳 ― 段落ごとの日本語訳と読解ポイントTHINKINGオリジナル訳(全15段落・49文)。番号①②③…は各段落内の文の順番。赤字が設問に直結する箇所。

読むときの視点 この記事は具体(二人の少女)と抽象(統計・研究)を往復しながら進む。訳を読むときは「この具体例は、どの主張を支えているか」を確かめてほしい。ぶぶ漬けならぬタピオカティーの場面、ロックダウンの証言、文学作品、そして最後のフランキーの一言――すべてが一つの転換を証明するために置かれている。
第1段落|導入 ― 屋上の二人
①
オランダのある都市の廃ビルの屋上で、フランキーとドーラは夏の日差しの中、台湾のタピオカティーをすすっている。
②
二人の少女はヴィンテージのジーンズと、自分たちで装飾したスニーカーを身につけている。
③
フランキーのTシャツはある美術展を記念するもの、ドーラのはビリー・アイリッシュだ。「彼女は自分の思っていることをはっきり言うから」という理由で彼女が好きな歌手である。
設問の根拠・急所|第1段落
  • 導入の機能:統計から始めず、具体的な二人の少女から始める。記事全体が「この二人」と「数千万人」を往復する構造で、最終段落でフランキーに戻って閉じる。
  • she speaks her mind「思っていることをはっきり言う」=第11〜12段落の「声を上げる(speak up / speak louder)」という主題の伏線。冒頭の何気ない一言が、記事の核心語を先取りしている。
第2段落|現状 ― 「それは別の時代の話」 (11)
①
少女たちはこの場所をTikTokで見つけた。
②
歯が痛くなるほど甘いタピオカティーのことは、Instagramで知った。
③
彼女たちが最近した一番のいたずらは、政治的な抗議活動に参加するためにこっそり抜け出したことだ。
④
彼女たちは、自分が女の子だからという理由でできないことがあるとは思っていない。
⑤
「それはもう別の時代の話だと思う」とドーラは言う。
設問の根拠・急所|第2段落
  • (11) from another time「別の時代のもの」=問(11)の根拠。直前の文が決定的:彼女たちは「女の子だからできないことがある」とは思っていない。その考えを指して「別の時代のもの」=正解(b)「いくつかのことは女の子によってなされるべきでないという信念」。(11)
  • 指示語は直前を見る:that=直前の文で否定された考え方。ドーラが退けているのは制約の観念であって、平等の理念ではない(選択肢(a)の罠)。
  • sneak out to a political protest「抗議活動に行くため抜け出す」=最も「いたずら」なことがこれという描写が、この世代の性格を一言で示す。
第3段落|枠組み ― かつてない少女時代
①
フランキー、ドーラ、そして豊かな世界の数千万人の11歳から16歳の少女たちは、かつてない少女時代を過ごしている。
②
彼女たちの母親たちは、以前の世代よりもはるかに父親との平等に近づいていた。
③
彼女たちには、航海すべき当惑するようなソーシャルメディアの世界がある。
④
そして彼女たちは、少女時代についての考え方が急速に変化している世界にさらされている。
設問の根拠・急所|第3段落
  • 三つの条件:①母の世代の平等化 ②ソーシャルメディア ③少女時代の観念の変化=この三つが以降の段落で順に展開される。
  • a girlhood like none before「かつてない少女時代」=記事全体の主題文。問(20)(本文の要点)はこの一文に帰着する。
  • bewildering(当惑させる):ソーシャルメディアを単純な善でも悪でもなく「厄介なもの」として提示。第10段落の議論への伏線。
第4段落|核心 ― 対比による定義からの脱却 (12)
①
鍵となる変化の一つは、女の子であることが今やそれ自体で一つのものとして見られているということだ。
②
何世紀もの間、少女時代は少年時代との対比で定義されてきた。男の子が意地悪なときには優しく、男の子がうるさいときには静かに、男の子が個性を持つときには可愛らしく。
③
今日では、少女たちは幅広く柔軟な範囲の興味と行動を許されており、彼女たち自身もそれを自らに許している。
設問の根拠・急所|第4段落
  • (12) a thing in itself「それ自体で一つのもの」=問(12)の根拠。段落の第2文が意味を明かす:何世紀もの間、少女時代は少年時代との「対比で(in opposition to)」定義されてきた。→ 正解(b)「女の子はもはや男の子の単なる正反対とは見なされない」。(12)
  • 対比による定義の実例:nice when boys were nasty / quiet when boys were loud / pretty when boys had personalities=すべて男の子を基準にした引き算の定義。少女には「個性」すら割り当てられていなかった点に注意。
  • 問(20)への接続:broad and flexible(幅広く柔軟)=正解(d)の more flexible and contains more possibilities と直結。
第5段落|友情 ― 少女同士の絆
①
少女たちの間の濃密で親密な友情は、ジェーン・オースティンからエレナ・フェッランテに至る女性小説家たちに題材を提供してきた。
②
さまざまな国での研究が、女性同士の友情はより親密で支え合うものだと確認している。
③
親しい友情にある少年たちは、10代になるとしばしば離れていく。
④
同じ年齢で、少女たちは以前よりもいっそう近づく傾向がある。
設問の根拠・急所|第5段落
  • 次段落への橋渡し:友情の重要性を先に示しておくことで、第6段落の「友人に会えないことが最もつらかった」が説得力を持つ。論証の順序が計算されている。
  • 男女の非対称:少年は10代で離れる/少女はいっそう近づく。この差が第6段落の「少女のほうが苦しんだ」の背景。
第6段落|検証 ― ロックダウンで最もつらかったこと (13)
①
私たちが話を聞いたほとんどすべての少女が、友達に会えないことがコロナ禍のロックダウンで最もつらかったことだと言った。それは家族間の緊張やオンライン授業といった要因を上回っていた。
②
英国児童協会の調査は、これが英国の10歳から17歳の子ども全般に当てはまること、そして少女たちが少年たちよりも苦しんだことを確認している。
設問の根拠・急所|第6段落
  • (13) 問(13)の根拠:正解(c)「友人に会えなかったことでより苦しんだから」。第1文が「友人に会えないこと=最もつらい」と述べ、第2文が「少女のほうが苦しんだ」と述べる。二文を合わせて因果が成立する。(13)
  • eclipsing(覆い隠す・上回る):家族間の緊張やオンライン授業よりも大きな要因だった=選択肢(b)「家族とより多く争ったから」は、本文が「それより大きい」と退けた要因。本文に出てくる語ほど危ない。
第7段落|投資 ― 支出の逆転 (14)
①
家族もまた、過去と比べて少女により多くの資源を投資している。
②
1970年代、アメリカの親たちは少女よりも少年にかなり多額のお金を費やしていた。
③
2017年までにその差は消えた。
④
今日の少女たちは、家庭教師、画材、音楽レッスンについて、少年たちよりも多くの親の支出を享受している。
設問の根拠・急所|第7段落
  • (14) 問(14)の根拠の一つ:最終文=選択肢(d)「親は少年より少女の家庭教師により多く支出する」と一致=言及あり=答えではない。(14)
  • 数値の推移:1970年代=少年に多く → 2017年=差が消失 → 今日=少女のほうが多い。「差が消えた」で止まらず、その先まで進んでいる点を正確に。
第8段落|逆説 ― 古いステレオタイプが利点に (14)
①
皮肉なことに、子どもの育て方に関連する古いジェンダー・ステレオタイプのいくつかが、今では少女たちの役に立っているかもしれない。
②
少女たちは幼児のころ、少年たちよりも多く読み聞かせをしてもらう。
③
彼女たちの父親は5倍歌ってあげる可能性が高く、また悲しみを含む感情について彼女たちに話す可能性も高い。
④
母親たちは彼女たちに対してより複雑な語彙を使う可能性が高い。
⑤
これらのほとんどが、「ソフトスキル」をますます重視する世界で少女たちに優位をもたらしている。
⑥
少女たちは今でも少年たちより余暇時間が少ないが、現在ではそれは主に、家事が不公平に分担されているからではなく、宿題や身だしなみにより多くの時間を費やすためである。
設問の根拠・急所|第8段落
  • (14) 問(14)の核心:最終文が決定的。本文は「家事が不公平に分担されているからではない(rather than because house chores are unfairly divided)」と明確に否定している。→ 選択肢(b)「女の子は今でも男の子より家事に多くの時間を費やす」は、単に言及がないのではなく本文が否定した内容=正解(b)。(14)
  • (14) 他の選択肢の所在:(a)父親が感情について話す=第3文/(c)母親が複雑な語彙=第4文=いずれも言及あり。
  • Ironically の構造:少女を制限する見方から生まれた扱い(優しく育てる)が、ソフトスキルを重んじる時代に優位をもたらす=意図と結果の逆転。ステレオタイプが良くなったのではなく、社会が評価する能力が動いた。
第9段落|反転 ― 娘が親を変える (15)
①
娘たちは親の、特に父親の価値観を変えることもできる。
②
研究者たちは、娘がいることが、父親がジェンダー役割について伝統的な態度を持つ可能性を減少させ、家事で自分の役割を果たす可能性を高めることを発見した。
③
別の研究では、娘がいることが政治家や裁判官の判断に影響を与えることが示されている。
④
娘を持つビジネスマンは、女性の職業的キャリアを支援する可能性が高い。
設問の根拠・急所|第9段落
  • (15) 問(15)の根拠:最終文support women's professional careers(女性の職業的キャリアを支援する)=正解(d)「職場で女性の昇進を促す意欲」。(15)
  • (15) 誤答の所在:(a)家事を女性任せ=本文は「家事をより分担する」と逆/(c)フェミニズム的態度の拒否=本文は「伝統的態度を持つ可能性が減る」と逆。本文の二つの動詞(decreases / makes more likely)の向きを取れば両方消える。
  • too の機能:Daughters can change parents' values too=それまでの「環境→少女」という向きに、「少女→環境」を付け加える。記事に双方向性を与える重要な段落。
第10段落|摩擦 ― テクノロジーをめぐる親子の溝 (16)
①
ほとんどの少女が同意する一つの点は、彼女たちの親がテクノロジーに対してあまりにも一方的なアプローチを取るということだ。
②
「私の両親は、それが全部ドラマと気晴らしの塊で、私たちがみんな中毒になっていると思っています」とフランキーは不満をもらす。「でも、それはとても刺激的にもなりうるんです。オンラインでいろんなことに立ち向かっている女性がたくさんいますよ」
設問の根拠・急所|第10段落
  • (16) too one-sided「あまりに一方的」=問(16)の根拠。直後のフランキーの発言が中身を明かす:親は「ドラマ・気晴らし・中毒」という否定面ばかり見る/but it can be really inspiring, too(でも刺激的でもある)。→ 正解(b)「否定的な側面をあまりにも強調する」。(16)
  • one-sided=偏っている:どちら側に偏っているかは文脈が決める。ここは否定面への偏り。選択肢(c)「危険に無頓着すぎる」は偏りの向きが逆。
第11段落|歴史 ― フィクションと現実のずれ (17) (18)
①
少女たちはますます、自分たちが力を持っていると言われ、またそう感じている。
②
そして、たとえ自分たちが世界を動かしていると信じていなくても、彼女たちは確かに世界を良くしたいと思っている。
③
心理学者のキャロル・ギリガンは、若い少女たちが長い間、論争的な問題について勇敢で率直な存在として想像されてきたことを指摘する。シャーロット・ブロンテのヒロインであるジェーン・エアから、トニ・モリスンの小説『青い眼がほしい』のクローディアまで。
④
しかし現実の少女たちが10代になると、「好かれる」若い女性になるよう圧力をかけられ、声を上げるのをやめる傾向があった。
設問の根拠・急所|第11段落
  • (17) 問(17)の根拠:第3文have long been imagined as brave and outspoken(長い間、勇敢で率直だと想像されてきた)=正解(b)「フィクションの中の女性登場人物はしばしば勇気あるものとして表される」。(17)
  • (18) 問(18)の根拠:最終文pressured as they were to become "likeable" young women(「好かれる」若い女性になるよう圧力をかけられて)=正解(a)「好かれなければというプレッシャーを感じたから」。(18)
  • imagined ↔ real-life の二層:フィクションの中では昔から勇敢(imagined)/現実の少女は10代で沈黙(real-life, 過去形)。though がこの食い違いを明示する。次段落の Today が、このずれの解消を告げる。
第12段落|現在 ― 声を上げる道具を手にした
①
今日の少女たちは、より大きな声で話すために必要な道具を手に入れた今、自分たちの声が聞かれるということを学んでいる。教育から、インターネット、家を出る自由まで。
②
少女たちは今や少年たちよりも、世界をより良い場所にしたい、あるいはリーダーになりたいと言う可能性が高い。
設問の根拠・急所|第12段落
  • 前段落のずれの解消:フィクションでは勇敢、現実では沈黙というずれが、「道具を得た今」埋まりつつある。Today's girls という書き出しが時制の転換を示す。
  • the tools needed to speak louder:教育・インターネット・家を出る自由=具体的な三つの手段。第1段落のドーラの「she speaks her mind」がここで回収される。
  • 次段落への接続:「世界を良くしたい」という高い志が、直後で「高い期待というリスク」に裏返る。
第13段落|留保 ― 高い期待という重荷
①
高い期待は間違いなくリスクである。
②
少女たちに何が不安にさせるかと尋ねると、多くがプレッシャーを挙げる。良い行いをするプレッシャー、良く見えるプレッシャー、良い子であるプレッシャー。
設問の根拠・急所|第13段落
  • 段落配置が論理を担う:直前が「リーダーになりたい」という高揚、直後が「高い期待はリスク」。同じ expectations が力の源でもあり重荷でもある=利得と代償が同一現象から同時に生じる。
  • 三つのプレッシャー:do good(行い)/look good(外見)/be good(人柄)=行動・容姿・性格のすべてに及ぶ。第14段落のフランキーのパニックはこの実例。
第14段落|場面 ― フランキーのパニック (19)
①
「あなたは世界を変えられると思いますか?」と尋ねられると、フランキーはパニックになったように見える。
②
「私一人で? ああ、神様、無理です。もし問題を解決できなかったらどうしよう?」
設問の根拠・急所|第14段落
  • (19) 問(19)の根拠:By myself?(私一人で?)=フランキーは you を単数(=彼女個人)と解釈した。→ 正解(c)「質問者が少女たち全体ではなく彼女個人のことを言っていると考える」。(19)
  • 誤解の種類を特定する:年齢でも、問題の範囲でも、地理的範囲でもなく、単数か複数か。次段落の the "you" is plural が答えを確定させる。
  • 第13段落との対応:このパニックこそ「高い期待というリスク」の実例。逸話が直前の抽象的な主張を具体化している。
第15段落|結末 ― 複数形だと気づく (20)
①
それから彼女は「you」が複数形だと気づく。それがすべてを変える。
②
「ああ、女の子たち全員ってことですね」と彼女は安堵のため息とともに言う。「もちろん私たちならできます」
設問の根拠・急所|第15段落
  • (20) 問(20)への帰着:記事は一貫して「女の子であるという経験がどう変わったか」を論じてきた=正解(d)「女の子であるという経験は以前よりも柔軟で多くの可能性を含む」。(20)
  • 結末が二主題を一点で結ぶ:パニック=第13段落「高い期待はリスク」の実例/安堵=第12段落「世界を良くしたい」の実例。個人としての重荷と、集団としての自信が、一つの場面で交差する。
  • 第9段落との呼応:娘が親を変えるという論点があるからこそ、「もちろん私たちならできます」が根拠のある自信になる。この段落がなければ結末は単なる楽観に終わる。
Original Questions

発展5問 ― THINKINGオリジナル早慶・上智上位レベル。選択肢はすべて英語。本文の語句を拾うだけでは解けず、結末の機能・逆説の構造・時間の層・両義性・論の向きを掴んでいないと正解が選べない5問。

5問が狙う5つの急所

問狙う力この本文での急所
発展1結末の機能youの単複のオチが二主題を一点で結ぶ。パニック=重荷、安堵=集団の自信。
発展2逆説の構造Ironicallyの中身。少女を縛る扱いが、評価軸の変化で武器になった。
発展3時間の層imagined(虚構では勇敢)↔ real-life(現実は沈黙)、そしてTodayで解消。
発展4両義性同じ expectations が力の源でも重荷でもある。段落配置が論理を担う。
発展5論の向きtoo の一語で「環境→少女」が「少女→環境」に反転する。
取り組み方 まず本文を読み直してから、5問を通しで解いてください。各問は選択肢をタップして自分で解け、「答え・根拠を表示」で解答プロセス→根拠(本文)→全選択肢の✓✗が開きます。正解を選べても、他の3つがなぜ外れるかを説明できなければ半分――誤答解説には「どんな読み方をした人がそれを選ぶか」まで書いてあります。

発展 第1問・第2問

発展 第3問〜第5問

5問を終えたら 落とした問題があれば、本文のどこを読み飛ばしていたかを特定してください。発展1なら第13段落と結末の対応、発展2なら第8段落のIronicallyと最終文、発展3なら第11段落のimagined/real-lifeと第12段落のToday、発展4なら第12段落と第13段落の並び、発展5なら第9段落冒頭のtoo。いずれも本文に明確な根拠があり、推測で補う必要はありません。「なんとなく」で選んだ箇所こそ、伸びしろです。
Review

総まとめ ― 解答一覧と復習動線まず自己採点。落とした問題が「どの手がかりを見落としたか」で振り返る。

本試験 解答一覧

設問解答決め手陥りやすい誤答
(11)(b)直前の否定文が指示内容(a) 平等への信念(方向が逆)
(12)(b)直後の「対比で定義されてきた」の裏返し(a) 羨まれる(価値の優劣にすり替え)
(13)(c)最大の苦痛+少女のほうが苦しんだ(b) 家族ともめた(eclipsingで退けられた要因)
(14)(b)rather than で明示的に否定(d) 言及があるのに選ぶ(NOTの見落とし)
(15)(d)support women's professional careers(a)(c) 向きが逆(decreases / more likely)
(16)(b)直後の引用が偏りの向きを示す(c) 無頓着(偏りの向きが逆)
(17)(b)挙げられたのは作中人物(a) 作家の話だと読む
(18)(a)pressured … to become likeable(d) 現代のプレッシャーと混同
(19)(c)By myself? が誤解の種類を示す(b)(d) 年齢や範囲の誤解だと読む
(20)(d)a girlhood like none before / broad and flexible(c) 第13段落の留保を結論と取り違え

発展5問 解答一覧

問解答試された力最も引っかかる誤答
発展12結末が二主題を一点で結ぶ機能1(panicked だけ見て幼さと読む)
発展24Ironically の中身の言語化2(old を「今はない」と読む)
発展31虚構と現実の二層+解消2(二層を入れ替える)
発展43同一現象の両面として読む2(留保を第三者の反論と分類)
発展52too が示す論の向きの反転4(制度主導と読み、因果を逆に)

復習動線 ― 落とした「型」から潰す

A
指示語・下線部の根拠を外した((11)(12)(16))

この記事の下線部は直前か直後に必ず説明がある。(11)=直前の否定文/(12)=直後の歴史説明/(16)=直後の引用。下線部そのものを睨む時間を、前後一文を読む時間に回す。

B
向きを取り違えた((15)(16)(17))

増えるのか減るのか、どちら側に偏るのか、虚構か現実か。(15)は decreases / makes more likely、(16)は否定面への偏り、(17)は imagined(虚構)側の例。語の一致で選ばず、向きを指差し確認する。

C
設問の条件を見落とした((14)(18))

(14)は NOT mentioned(述べられていないもの)、(18)は in the past(過去において)。設問文の限定語を読み落とすと、正しく読めていても外す。(18)の(d)は現代のプレッシャーで、時期が違う。

D
主題と留保を混同した((20)・発展4)

記事は一貫して少女の条件の改善を論証し、第13段落だけが留保。留保を結論と取り違えると(20)で(c)を選ぶ。しかもその留保は別の要因ではなく、力を与える期待そのものの裏面として書かれている(発展4)。

E
論の向きと時間の層を外した(発展3・発展5)

発展3=imagined(虚構では勇敢)↔ real-life(現実は沈黙)、そして Today で解消。発展5=too の一語で「環境→少女」が「少女→環境」に反転。一語(though, too, Today)が論の構造を切り替えることに注意。